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働き方改革への対応

中小企業診断士 大山昇

働き方改革が叫ばれて久しく、すっかり世間に定着した感があります。

 

一口に働き方改革といいますが、中身としては大きく以下の3つの働き方改革関連法案への取り組みがあります。

 

1.年次有給休暇取得の義務化

2.時間外労働の上限規制

3.同一労働同一賃金

 

今回はそれぞれについて、以下に現在の状況と今後必要な対応について見ていきたいと思います。

 

1.年次有給休暇取得の義務化

昨年すでにスタートしており、皆様も実際に運用されている状況かと思います。

制度が変わったことで、会社を取り巻く文化も変わってきているようで、いろんな企業様を訪問していても「有給が取りやすくなった」という声が増えているように感じます。

 

2.時間外労働の上限規制

大企業ではすでに昨年スタートしている残業上限規制についてですが、2020年4月から中小企業においても適用されることになります。

 

従来は実質いくらでも残業が可能だった労働時間についてメスが入り、下記のように規制されることになります。

  • 法定労働時間:8h/日、40h/週
  • 残業の上限:45h/月、360h/年
  • 臨時的上限:720h/年、複数月平均80h/月、100h未満/月(年間6ヶ月まで)

違反すると罰則もあり、施行が4月に迫っていて対応待ったなしの状況ですので、万一まだ準備がお済みでない企業様は急ぎ対応するようにしましょう。

 

3.同一労働同一賃金

大企業では今年の4月から実施される同一労働同一賃金ですが、中小企業では1年猶予があり来年2021年の4月からの施行となっています。注意していただきたいのは派遣会社で、企業規模に関わらず大企業と同じ今年の4月からの施行となっています。

 

文字通り同じ労働をしているのであれば同じ賃金にして、待遇差がないようにするという話なのですが、よく誤解されているのは、実はこの規制自体は正規と非正規の格差を是正するのが目的であり、正社員同士の賃金の不整合については範囲外ということです。

 

なので働き方改革関連法案への対応という意味ではそのあたりは放置してもよいということなのですが、せっかくですのでこれに合わせて正規従業員の中にある不合理な状況も確認し、是正することをお勧めします。

自社の評価制度・賃金制度を見直すことで、従業員のモチベーションを高めることができるかもしれません。

 

あとがき

働き方改革関連法案の現状と今後の対応について見てきましたが、もし準備できていない点があれば確実に対応していきましょう。

そして、可能であればこれをきっかけに自社の向上につなげる取り組みとしていきましょう。