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SDGsを事業成長に活かす知恵

中小企業診断士 金綱 潤

御縁あって、6年前より中小企業庁さんの委託事業として年間、約5,000社の事業者さんのご相談をコーディネートする仕事に携わっています。経営面の相談相手として無料で何度でも利用出来る施策になっています。これは国が税金を活用して相談対応事業を支援しているからです。年々の相談に来られる事業者さんの数も増え、業種・業態も経営ステージ(創業前、創業、事業成長、事業成熟、M&A、事業承継、事業転換等)も多岐に渡る中、私も多くの気づき頂きました。

 

今回は、小規模、中小企業の皆様自身がSDGsを活かして、事業成長に繋げていく知恵について私が感じたことをご紹介します。

 

1:そもそもSDGSとは

そもそもSDGsとは持続可能な開発目標と解され、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(以上 外務省ホームページより引用、編集)

 

2:SDGsの本質

多くの方が誤解されている点ですが、SDGsは、経済(ビジネス)を犠牲にして社会や環境を守ることは前提にしていません。寧ろ、環境や社会と事業の採算性を融合させ、事業の魅力を高めて、営業キャッシュフロー(此処では営業利益+減価償却費と定義します。)をしっかり稼げるビジネスモデルを築き上げることを要請しています。

 

そうでないと、事業の継続性が担保出来ず、社会や環境にもマイナスになってしまうと考えています。更に言うと、これからのビジネスには、SDGsが目指す環境、社会、経済の3つの持続性の融合こそが、唯一、持続可能なビジネスであると考えています。

 

3:SDGsの導入手順

SDGsの導入手順は、SDGsコンパスにて紹介されています。それによると以下の5つのステップで紹介されています。

  1. SDGsを理解する
  2. 優先課題を決定する
  3. 目標を設定する。
  4. 経営へ統合する
  5. 報告とコミュニケーションを行う。

このステップは直線的なものではなく、5.報告とコミュニケーションを行う→2.優先課題を決定する→・・のようにループを描き、個々の事業の進化を促しています。例えば2.優先課題を決定するためには、特殊なことを課題にするのではなく、自社のビジネスをより良いものにしていくために「何をどう変える必要があるか?」の観点からアプローチしてみることを推奨しています。自社の現状のビジネスの中身をビジネスプロセスで細分化してみて、各々の工程の中で、社会、環境への負荷を減らし、更に経済的にも良くなる点はどんなポイントか?について考えてみることも一つかと思います。

 

又、同様に各々の工程の中で、社会、環境への貢献を強め、更に経済的にも良くなる点はどんなポイントか?について考えてみることも一つかと思います。

 

4.SDGsを事業成長に活かすコツ

前述したようにSDGsには、17のゴール・169のターゲットが具体的に定義されています。

 

例えば、1の「貧困をなくそう」のゴールの第一のターゲット(目標)には、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」と具体的な目標像が描かれています。ですので、自社の現状のビジネスプロセスの中で、17のゴール、169のターゲット内容を精査しながら、今よりも、環境、社会、経済(ビジネス)の融合性を高め、ビジネスモデルそのものの価値を高めていくために、何がボトルネック(マイナスの除去)になっているか?又は、何がプロモーションポイント(プラスの付加)になり得るか?を検討してみることも有益です。

 

古くから日本には「売り手よし、買い手よし、世間よし」とする近江商人の「「三方良し」とする経営哲学が浸透しています。今から何か新しいことにチャレンジするのではなく、創業から今までに積み上げてきた資産や、積み残してきた負債の中からSDGs導入の切り口を構想してみることが一番妥当だと考えます。

 

何か分からないことがあれば、このTASKSのネットワークに相談されてみることもお奨めします。

ご一読有難うございます。