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雇用調整助成金が特例措置によって利用しやすくなりました!

中小企業診断士 社会保険労務士 溝口晃子

1.雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金は、企業が業況の悪化等によって「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当等の一部を助成する制度で、雇用保険二事業のうちの雇用安定事業の一つです。

 

このたび、新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置として、4月1日から9月30日までを緊急対応期間と位置付け、感染拡大防止のため、この期間中は全国において、さらなる特例措置が実施されています。

 

 

2.特例措置のおもな内容

新型コロナ感染に伴い、経済活動は甚大な影響を受けており、そのため、以下のようなさまざまな特例措置が講じられています。

休業の際の助成日額上限額を増額(従来は上限額8,330円であったが、15,000円に増額)、雇用保険被保険者でない従業員の休業も助成(新たに緊急雇用安定助成金を創設(4/1))、助成率の拡大(解雇等を行わず、雇用を維持している場合、10/10(中小企業)、3/4(大企業))、被保険者期間要件を撤廃(従来は6か月以上の被保険者期間が必要であったが、それを撤廃)、生産指標の緩和(従来は「3カ月10%以上減少」であったが、「1か月5%以上減少」に緩和)等です。

 

 

3.小規模事業主向けの手続き等の大幅な簡素化

雇用調整助成金に関しては、従来より手続きの煩雑さが障壁となって申請を困難と感じる企業が多くありました。さらに、今回は新型コロナによる影響が全業種に及び、また企業規模の大小に関係がないというかつてない事態に至り、従来雇用調整助成金に縁遠かったと言える小規模事業主に対する対応が急務となっていました。

 

そのため、今回あらたに、小規模事業主(従業員数がおおむね20人以下の事業主)の場合は申請方法や書式も大幅に簡素化され、申請に要する書類は、支給申請書類(3種類)の他、添付書類として4種類となり、また、申請方法も窓口、郵送、オンラインのいずれかを選択できるようになっています。

 

なお、申請期限は、支給対象期間の末日の翌日から2か月以内となっていますので、ご注意ください(支給対象期間の初日が1/24~5/31の休業の申請期限は、特例により8/31となっています)。

 

 

 

以上のとおり、従来に比べて非常に受給しやすくなった雇用調整助成金の申請をぜひ、ご検討いただければと思います。