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テレワークとコミュニケーション

中小企業診断士 大山 昇

新型コロナウィルスの影響で一気にテレワークが社会全体に広まった印象があります。

実際のところどうなのでしょうか?

 

パーソル総合研究所の調査によると緊急事態宣言前の3月中旬のテレワーク実施率は13.2%だったのですが、緊急事態宣言中の4月10日から4月12日の間は27.9%と一気に2倍以上に膨らみ、その後、緊急事態宣言が解除された後の5月末には少しだけ落ち着いて25.7%だそうです。

 

https://rc.persol-group.co.jp/news/202006110001.html

 

この数字を見たときにどのような印象を持たれるでしょうか?

 

確かに一気に増えたという見方もできますが、「意外と少ないな」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ここで、都道府県別に見てみると東京を中心とする関東圏が突出して多く、その他の地域はあまりテレワークを実施していない状況が見えてきます。

 

https://rc.persol-group.co.jp/news/files/telework3-1.pdf

 

実際、筆者は九州で活動しているコンサルタントなのですが、テレワークを実施している企業というのはそんなにお見かけしません。

これは、テレワークを実現すれば今なら他社と差別化できるということを意味します。

 

現在でこそ新型コロナウィルスの影響という文脈で語られることが多いテレワークですが、もともとは、人口減社会において働き手が減る中で多様な働き方を実現する、いわゆる「働き方改革」という切り口で導入が推進されてきたものでした。

 

西暦2100年には日本の人口は現在の半分以下、6000万人を割り込むと言われています。

人口動態予測は正確だと言われていますので確実にやってくる未来と言えます。

 

そうした未来に向けて、テレワークを実現して多様な働き方を提供すれば、優秀な働き手の確保につながり、自社の競争力が向上することになりますので、ぜひ検討したいところです。

 

ではテレワークの実施に向けた課題はどういったものがあるでしょうか?

 

日経BP社の調査によれば、「紙で行っている業務がある」「労務管理ができない」といったものもありますが、一番の課題はコミュニケーションに関するものです。

 

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01307/060900005/

 

従来一カ所に集まって仕事をすることや対面で取引先との商談を行うことが当たり前だったため、そうした仕事をどうやっていいか分からなかったり、不安だったりするということです。

 

こうした課題に対しては、やはりITツールの活用を検討したいところですが、ZoomなどのWeb会議は昨今かなり浸透してきている感がありますので、ここでは「ビジネスチャット」についてご紹介したいと思います。

 

ビジネスチャットとは、LINEのような個人向けチャットツールをセキュリティや機能面でビジネス向けに強化したもので、代表的なものとしてSlackやChatworkなどが挙げられます。

 

ビジネスチャットでは

 

・メールに比べてカジュアルなコミュニケーションで気軽に連絡を取ることができる

・事前に情報共有するグループを作るので宛先を考える時間が不要

・グループに後から参加したメンバーもそれまでの情報を確認できるので、改めての情報共有が不要

・送ったメッセージを後から取り消したり編集したりできる

・スケジュール管理ソフトなど外部のツールと連携可能

 

といった特長があり、コミュニケーションを効率的にすることができるため、日本企業でも浸透してきており、テレワークには欠かせないツールとなっています。

 

これらのツールは基本無料から始められますし、実際に使ってみると説明だけ聞いているよりも機能や利点がしっかり理解できますので、いろんなビジネスチャットを試してみて自社に合うものがないか検討してみてはいかがでしょうか?

 

以上