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今こそ強みを考えてみる

中小企業診断士 妹川 聡

新型コロナ感染症の経済への影響は、業種によって違いはあるものの、まだまだ見通せません。

ビジネスのキーワードは「大量」から「個」へ移っているのはおそらく間違いなく、これまでのような大量で価格勝負のビジネスは成立しにくくなってくるでしょう。ゲームチェンジが起こっています。

 

これからのビジネスは、価格ではなく個々の強みでの勝負になってきます。外部環境の変化の中から自社にとって追い風となりそうなことを捉え、そこに自分の強みを活かす、というのが基本的な戦略になってきます。

 

今まで百名以上の社長様へヒアリングをしてきました。その中で「御社の強みは何ですか」という問いに対して、多くの社長様は「・・・」と一瞬考え込んでしまいます。逆に「弱みは何ですか」という問いにはスムーズに答えられるのですが。もちろん、強みが無いという事はありませんので、そこを引き出すのがコンサルタントの仕事です。「こんなこだわりがあるんですね、すごいですね」と申し上げると、社長様も「あ、当たり前だと思っていましたが、確かにそうですね」ということになります。

 

なぜ、社長様は自社の強みを認識できていないのでしょうか。それは、視点が自分、つまり提供する側にあるからです。

 

強みを評価するのはお客様です。強みはお客様が、他社ではなく御社の製品・サービスを選ぶ、その理由なのです。

 

突然ですが「あなたは強いですか」と聞かれたら、どのように考えますか。「え?どんな状況で?」「誰と比べて?」という感じではないでしょうか。自社の強みを考えるには、二つの前提を置くことになります。一つは、「市場はどこか」ということ。「お客様は誰か」と言っても良いでしょう。なるべく具体的に考えてください。

 

もうひとつは、「競合他社はどこか」ということ。ここでも間違えやすいのは、自社と規模の似た企業を考えてしまうこと。大切なことは、先ほど考えた市場で、しかもそのお客様から見て、ということです。例えば、量販店で販売している食品を製造しているメーカーでしたら、競合他社は量販店の同じ棚に並んでいる食品の各メーカーになります。同規模のメーカーもあれば大手もありますね。

 

「お客様は誰か」「競合他社はどこか」が決まれば、「自社の強みは何か」は格段に考えやすくなります。

あとは、「自社の強みをもっと伸ばすにはどうしたらよいか」「自社の強みをどうしたらお客様へ伝えることができるか」を具体的に考えていけばよいでしょう。

 

強みは御社の差別化ポイントであり、ブランドへとつながります。ブランドが確立されれば、そのポジションにおいて、お客様に選ばれる企業となることでしょう。

 

以上