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新しい事業を考える

中小企業診断士 春山英太郎

 

 新型コロナの影響は、予想を超えて長期化しています。生活習慣もだいぶ様変わりしました。テレワークの普及、飲食店の時短営業など、今では当たり前の風景に感じています。数年前に、日常的にマスクをつけるようになるとは思いもよりませんでした。程度の差こそあれ、私たちは新しい環境に合わせて行動しています。

 

 事業も同様に、お客様の行動やニーズが変わると、それに合わせた変化が必要になります。今までは、時代の流れとともに緩やかな変化が求められてきました。しかし、新型コロナの影響により、否応なく、急激な変化を求められています。そんな中、よく見かける図ではありますが、「戦略的経営の父」といわれるイゴール・アンゾフの製品=市場マトリックスをもとに、新しい事業を考えてみたいと思います。

 

図1:製品=市場マトリックス
図1:製品=市場マトリックス

 上記のマトリックスは、製品・サービスと販売する市場を【既存】と【新規】に分け、それぞれの組み合わせで戦略が異なることを示しています。

 (1):市場浸透戦略は、既存の製品・サービスと既存の市場をターゲットとするため、現在の事業の延長であり、新しい事業ではありません。日々の営業活動に限界を感じた場合、そのほかのエリアへ事業を拡大・成長させる必要があります。

 (2):新製品開発戦略と(3):新市場開拓戦略は、それぞれ既存と新規の組み合わせが異なります。新しい製品・サービスを開発して既存のお客様に提供するか、新しい市場に既存の製品・サービスを投入するかの違いです。勝手知ったる市場、または製品・サービスを投入するため、今までのノウハウを生かした展開が望めます。

 最後の(4):多角化戦略は、新規市場に対して新規の製品・サービスを展開する、全く新しいチャレンジとなります。そのため、失敗する可能性も高くなります。しかし、大きな環境の変化に際し、会社の継続のため、場合よっては必要な戦略になります。

 

 新しい事業を考えるとき、まずはどんな製品・サービスまたは市場が効果的か、その組み合わせから考えてみてはいかがでしょうか。新しい発見につながるかもしれません。もし新型コロナによる変化に対応するため、(4):多角化戦略を検討されるのであれば、今話題の事業再構築補助金の活用が考えられます。

 

 事業再構築補助金は、本ブログでもご紹介していますが、申請にはいくつかの要件を満たさなければなりません。主要な要件として「製品等の新規性要件」と「市場の新規性要件」があります。リスクの高い多角化戦略に対して、国が支援することを意味します。とはいえ、どんな事業でも支援を受けられるわけではありません。「売上高10%要件」や「売上高構成比要件」により、事業化の目途を示す必要があります。新しいチャレンジには多少なりとも投資が必要となり、失敗する可能性を考慮すると、慎重なリサーチが欠かせません。補助金の獲得だけを目的とするのではなく、自社のリソースや財務状況にあった事業を目指すことが肝要となります。

 

 事業再構築補助金の詳細については、以下のサイトをご確認ください。

以上