中小企業診断士 丸田佐和子
【コロナ禍の資金調達】
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年1月から1年10ヶ月もの月日が経ちました。
国による様々な施策がありましたが、中でも昨年度は資金支援策である、政府系金融機関や民間金融機関によるコロナ融資、実質無利子・無担保融資のいわゆる「ゼロゼロ融資」は多くの中小企業が利用したのではないでしょうか?
この「ゼロゼロ融資」のほかにも、複数の助成金や補助金による支援策が講じられたことから、コロナ禍の中でも倒産件数は減少し、当面の資金繰りに困っていない中小企業が多かったと言われています。
【コロナ融資の返済がいよいよ始まる】
しかし、緊急事態宣言が9月30日に解除されたものの、経済環境としてはまだ大きく好転が期待できる状況ではなく、今後の資金繰りに不安を抱えている中小企業は少なくないと考えられます。
そんな中、冒頭で触れたコロナ融資の多くは、元金返済据え置き期間を1年としている案件が過半数を占めているとのデータがあることから、最近返済が始まった、もしくはこれから返済が始まる、というケースが多いと推察されます。
【コロナ融資後の資金繰りはどうするか】
実際に、元金返済が開始すると資金繰りが回らず追加融資を検討する、という経営者も多いかもしれません。
ただ金融機関も今後の見通しが立てづらく、難しい与信判断を迫られているため、希望通りに追加融資を得られない可能性は十分想定しておく必要があります。
その場合、どのように資金繰りをしていったらいいでしょうか?
追加融資以外にも、代表者など個人から資金調達する、不要な資産を売却するなどの方法はありますが、借入金全体について見直ししてみる、という方法も検討できるかもしれません。
【コロナ融資の返済だけでなく、借入金全体を見直す】
具体的には、コロナ融資以外の既存の借入金を一本化することによって、毎月の返済金額を減らすという方法です。
借入金の資金使途や借入先金融機関、信用保証協会の保証付きかどうか、などによって、一本化の可否がありますが、全ての借入を一本化する必要はありません。複数ある借入うちの一部の見直しでも効果は期待できます。
一本化で得られる最大の効果は毎月の返済額の軽減です。借入残高を一本化でまとめて、最終期限を一番長かったものに統一することができれば、毎月返済額が少なくなります。
さらに、一本化によって少しでもプラスで融資を引き出せる可能性もあります。例えば、残高が4百万円、3百万円、1百万円だった借入金を10百万円として一本化できれば、2百万円資金調達ができたことになる、といった具合です。全ての案件でこのような純増部分が出るとは限りませんが、交渉できる可能性はあります。
【金融機関と交渉する前に】
金融機関もリスクが伴いますので、交渉に際しては、何らかの審査にプラスになる情報や金融機関が納得できる情報が必要です。
ウイズコロナ、ポストコロナに向けて、これまで準備してきたことや、進行中のこと、今後の事業の方向性など、事業計画としてまとめたり、資金繰り計画を提出したりする必要があります。
希望的な数値計画では金融機関も首を縦には振ってくれません。実現可能性の高い計画と判断してもらえるように、計画には根拠を示す必要があります。そんな時、外部のサポートが必要でしたら、中小企業診断士への相談もご活用ください。
以上