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バーチャル展示会 カギを握るのはWEBマーケティング

中小企業診断士 田中研二

 

2021年の展示会と感染症対策

2021年は、コロナ感染症対策に各業界団体でガイドラインが制定され、感染症対策と経済活動を両立させるような動きになっていました。展示会を主催する企業の業界団体である一般社団法人日本展示会協会でも「展示会業界における COVID-19 感染拡大予防ガイドライン」を作成し、そのガイドラインに従った感染予防対策を徹底することでリアル展示会を行うようになってきました。

しかし、長く続いた緊急事態宣言などによる行動制限の影響でリアル展示会は開催されても来場者数が伸び悩む、といった状態が続きました。今後もその傾向が続くものと思われます。

 

一方、バーチャル展示会も導入当初は出展社にも来場者にも喜ばれましたが、リアル展示会が復活してバーチャルとの併用、いわゆるハイブリッド型の展示会が増えるにしたがってバーチャル展示会に対しての不満や課題が浮き彫りになりました。中でも、バーチャル展示会をきっかけに商談に至ったとしても十分なコミュニケーションが図れない、といった意見が多く聞こえました。

 

そもそもオンラインでの商談は、既存顧客とはオンラインで十分だが、新規顧客の開拓の場面ではバーチャル環境での営業活動は難しく、売手企業にとっては、オンライン上での顔出しを顧客に強制するわけにもいかず、商談相手の顔の表情が読み取れない中での商談などもあり、商談相手の熱量が推し量れないなど、上手に成約にまで交渉を進めることが困難であったようです。

今後もハイブリッド型の展示会が増え、しばらくはそれが継続するものと思われます。そのため、どのようにしてバーチャル展示会をうまく活用するか、しっかりと対策していただきたいところです。

 

 

WEBマーケティングとツール利用

そこで、ぜひ実施していただきたいのが、WEBマーケティングをしっかり行うことです。

バーチャル展示会の大きなメリットの一つは、出展社のバーチャルブースへの訪問やアプローチなどの情報が出展社にもたらされるところにあります。これを上手に活用しなければなりません。

そのためにも、展示会開催期間だけでなく自社のWEBサイトやメールマガジン、WEB広告などをしっかり行い、さらにバーチャル展示会で当社に興味を持った見込顧客をしっかりモニタリングしていくことが必要になります。

 

そこで活用したいのがマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)などのITツールの活用です。MAツールでは、当社のWEBサイトを訪れた方がどのページを見ているかが可視化され、どこに興味を持っているかがわかります。そしてその興味にしたがって事前に用意したメールマガジンの記事を自動で選定して送信することも可能です。そうすることで、より詳しい情報提供などを行うことができ、商談で説明しなければならない情報を事前にその方に知っておいてもらうことも可能です。

 

自社のプロモーションに対して、どの見込顧客が何に興味を示しているのかが可視化することで、効率の良い商談につながります。

そういったWEBマーケティングを上手に実施している企業ほど、バーチャル展示会を上手に活用できることになるでしょう。

 

まとめ

リアル展示会でもWEBマーケティングの重要性は高まってきており、バーチャル展示会の出現によってますますその重要性が高まっています。

ぜひ、自社の販路開拓の手法を見直して効率の良い新規顧客開拓を行ってみてはいかがでしょうか。