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小規模事業者補助金(一般型)の活用

中小企業診断士 春山英太郎

 

コロナの影響で、補助金・助成金の活用がクローズアップされています。申請するにはさまざまな要件があり、自社に合う補助金・助成金を選べない方も多いのではないでしょうか。その中で、小規模事業者を対象とした「小規模事業者持続化補助金 一般型」をご紹介します。

 

 

新規顧客の獲得が目的

「小規模事業者持続化補助金 一般型」は、販路開拓等への取り組みに対しての補助金になります。販路開拓は、新しい顧客の獲得を目指すものとお考えください。

 

小規模事業者の方の中には、既存顧客との取引に依存し、新規顧客の獲得まで手が回らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、創業して間もないため、顧客獲得を本格化する必要がある方もいらっしゃるかもしれません。

 

通常、新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかるといわれています。これを「1:5の法則」といいます。既存顧客は、一度商品やサービスを購入しているので、少ないコストで再度購入していただく可能性が高いといえます。

 

しかし、新規顧客に対しては、御社の商品やサービスを知っていただくことから始めなければならず、コストも多くかかります。既存顧客がいたとしても、将来的に離反しないとはいえません。ましてや、コロナ禍を経験した私たちにとって、不測の事態が起きたときの対応は強く求められています。

 

創業間もない方だけでなく、大多数の事業者にとって、新規顧客を獲得する仕組みづくりは重要なポイントになります。特に小規模事業者には、売上の上積みが望める新規顧客の存在は、経営の安定化に直結します。

 

 

一般型の補助額と対象経費

「一般型」は、補助金額が最大50万円で、補助率が2/3になります。これは、補助対象経費が60万円かかった場合、その2/3の40万円が補助されることを意味します。補助金額が最大50万円ですので、補助対象経費が75万円以上の場合、最大50万円の補助が受けられることになります。(特定創業支援等の条件にあてはまる場合は、最大100万円の補助が受けられます)

 

補助対象経費は、13項目に分けられています。

 

主だったところでは、広報費があります。ウェブサイトの開設やランディングページの制作、リスティング等のオンライン広告に活用できます。オンラインだけでなく、チラシの作成やポスティングにかかる経費等も対象となります。

 

ほかには、事業の遂行に必要となる設備が対象となり、

  • 生産販売拡大のためのオーブンや冷凍冷蔵庫等
  • 販売活動に必要な顧客管理ソフトなどが対象となる機械装置等費
  • 新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料や設計、デザインなどの経費が対象となる開発費
  • そのほかにも、専門家への謝金や店舗の改装など、販路開拓に資する経費

が広く対象となります。

 

 

補助金は必ずもらえるものではありません

ただし、給付金等と異なり、誰でも補助金を受け取れるわけではありません。申請に際しては、実現性のある事業計画書を提出し、その効果を示す必要があります。

 

計画書は、申請書に記載欄がありますので、別途用意する必要はありません。

記載欄は「経営計画」と「補助事業計画」に分かれています。

「経営計画」は、御社の事業内容を記載してください。どのような事業を行っており、顧客ニーズはどこにあるのか、わかりやすく記載することをお勧めします。

 

特に、御社の強みがどこにあるのかを明確にすることを重視してください。

 

「補助事業計画」では、その強みを生かして、どのように販売していくかを記載します。そして、計画終了の折には、どの程度売上が向上しているかを示しましょう。

 

 

事業計画書を作ること自体にメリットあり

事業計画書作成には、隠れたメリットがあります。

 

御社の事業でどこが優れているのか、ターゲットとしている顧客層は正しいのかなど、事業全体を見直す良い機会になります。採択の如何によらず、新たな発見につながったという声をよく耳にします。

 

申請の担当者だけでなく、経営者も積極的に関与して、計画書を作成することをお勧めします。

以上