中小企業診断士 金綱 潤
今回は、オミクロン株の蔓延、ウクライナ紛争?等、内外共に環境変化が激しい中、次代を切り開く切り札とも期待されるESGとSDGsの考え方とエコシステムに向けた好循環ループ構築についてお話したいと思います。
1:ESGとSDGsの関係
SDGs は、2015年の国連のサミットで採択されたものです。2030年までに全ての加盟国が達成すべき「持続可能な開発目標」(=Sustainable Development Goals)です。SDGs の最終目標は、「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す」であり、「17 のゴール」とそれらを達成 するための「169 のターゲット」から構成されています。
SDGs は様々な取り組みの「ゴール」にあたるものですが、企業活動の「プロセス」に着目をしているのが ESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)という概念です。 ESG を意識して日々の企業活動を行っていくことで企業の持続成長性が向上し、将来的に SDGs の目標達成の実現にも貢献をすることができます。SDGs を 2030 年までにすべて達成するには膨大な資金が必要とされており、その資金調達手段として期待されているのが ESG 金融(投資・融資)です。
2:SDGsに対する正しい理解
SDGs=環境問題と考える方も多いようですが、前述のようにSDGsには様々な目標があり、多彩です。つまりSDGs に取り組むとは世の中に様々ある社会課題―少子高齢化、省エネ・ゴミ問題、食料自給率、後継者不足、貧困問題、過疎、ジェンダー問題、異常気象等に、事業活動を通して解決を図ることです。多くの企業は経営理念・ビジョン・存在価値として掲げて、既に取り組んでいます。特に日本の企業経営者は、「三方良しの精神」がベース)でお客様と社会と自社とがそれぞれより良くなる」という経営を強く意識しておられるので、新たに何かを始めなくても、自社の取組の中に該当するものがないのか?と言う点について考えてみることが大切です。
SDGs は CSR(企業の社会的責任) の一環であると捉えられがちであるが、SDGs は「経営に活用すべきもの」です。 SDGs が企業に求めているのは「事業そのものによる社会課題の解決」への取り組みで「利益を上げられる持続可能な事業運営」が前提となります。 つまり、企業にとっての社会的責任としての義務や経費の話ではありません。社会課題解決をビジネスチャンスにしていこうと考え方です。
3:ESG投資に関する金融機関の役割
環境が大きく変わる局面では、新たな需要が一気に生まれるので、大きなビジネス•チャンス(新規融資や新たな手数料の源)になります。例えば、2021年8月31日に三井住友フィナンシャルグループは、投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を 2050 年までに実質ゼロとする旨を公表しました。金融機関として、融資先に有益なアドバイスや提案をし、共通価値の創造を高めてウィンウィンになることを目指されています。
目標(SDGs)とプロセス(ESG)関係なので、SDGsを進めていく上には、何にどのように投資を呼び込みどんな風に頑張っていくのか?について掘り下げてみることが大切です。
迷われたら身近な専門家にご遠慮なくご相談下さい。
以上