中小企業診断士 栗田一正
ゴルフが趣味で、スコアアップにつながりそうな動画をYouTubeでよく物色するのですが、ある動画でのレッスンプロのひと言に、今年一番の納得感を覚えました。
そのひと言は、ゴルフ場で出たエラーを修正するのが練習場(打ちっぱなし)の役割、というもの。痛快に腹落ちした私は、それを機にゴルフの腕がメキメキと上達!とはいきませんが、良化の兆しは感じています。
ゴルフの話題はさておき、ここからが本題です。なぜ筆者がレッスンプロのひと言に腹落ちしたのか。それはWeb運用の考え方と同じだったからです。エラーを見つけて改善を繰り返すプロセスは“まさに”です。というわけで、本コラムでは、「効果的かつ効率的なWeb運用サイクル」と題し、筆者が実践している一連の流れを紹介します。
筆者が実践するWeb運用サイクル
前提として、本コラムでいう「Web運用」とは、WebサイトやSNS、Web広告といったオンラインツールの活用をいいます。筆者が中小企業のWeb運用支援にあたる際は、次の手順を踏みます。
- 目標設定
- 施策の検討・実施
- 効果測定(検証)
- エラー要因の仮説立て
試行錯誤の末、現状ではこのサイクルが効率的で効果的です。それでは各プロセスについて、簡単に説明しましょう。
目標設定
目標は数値で測れるものにします。「売上」でもかまいませんが、「Web広告の顧客獲得単価(CPA)」「Webサイトのエントリーフォーム離脱率」「Instagramのリーチ数」など一歩踏み込んだ指標にすると、施策の方向性がブレず、具体性も高まります。
施策の検討・実施
目標を達成するための施策を検討し、実行に移します。Web広告のCPA改善であれば「広告からの流入ページの内容見直し」、Webサイトのエントリーフォーム離脱率改善であれば「エントリーフォームの入力項目数の削減、記入例の掲載」などが挙げられます。
なお、施策の実施後は“様子見”の期間を必ず設けます。期間は施策によりますが、筆者は少なくとも2週間程度は動向を見守ります。
効果測定(検証)
Webはデータ収集のしやすさが長所のひとつです。Webサイト関連のデータはGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで収集できますし、SNSもそれぞれのツールで解析できます。
アクセス解析ツールを利用する際は、ただ数字を眺めるのではなく、必ず目的を持って調査します。たとえば、Web広告を打った場合、WebサイトのPV数を見るだけでは足りません。Web広告経由で流入したユーザーのうち、1ページ目で直帰したのは何人か、エントリーページまで到達したのは何人かまで調べましょう。
エラー要因の仮説立て
効果測定の結果、施策が期待外れに終わることもあるでしょう。しかし落ち込むのはお門違いです。そもそもWeb運用に失敗(エラー)は付き物。エラーの発見こそ、新たな目標設定および施策検討につながります。
エラーを見つけたら、今度はエラーが起きた要因について仮説を立てます。以下は、仮説立ての一例です。
- Web広告(リスティング広告)が不発に終わったのは、広告からの流入ページが悪いのではなく、キーワード選定が甘かったのではないか。
- Webサイトのエントリーフォーム離脱率が高止まりしているのは、エントリーフォームの入力項目数が多いのではなく、半角のアルファベットが使えないのが要因ではないか。
まとめ
4.の仮説立てが済んだら1.目標設定に戻ります。あとは無限ループです。Web運用は泥臭く、終わりのない作業だと思います。ただし経験則から申し上げると、継続すればかなり高い確率で成果が得られます。目標達成を阻害するエラーを見つけ、改善する。今回紹介したサイクルをWeb施策に取り入れてはいかがでしょうか。
以上