中小企業診断士 村上知也
ついに今年スタートのインボイス 〜2023年10月から
紆余曲折ありましたが、ついに今年からインボイス制度がスタートします。
免税事業者の方は登録するべきか否かを決断せねばなりませんし、課税事業者も取引先の登録番号を確認するなど準備が必要になります。そして、システム面でもいくつかの対応が必要となります。
最低限必要なインボイスのシステム対応
インボイスは請求書の書式が変わります。
以下の3つの対応ができているか、事前に確認しておきましょう。
なお適格請求書だけではなく、領収書やレシートについても表示が変わります。(適格簡易請求書)
(1)登録番号の表示が必要です。
13桁の登録番号、すなわちインボイスの表示が求められます。
法人は法人番号の頭にTをつけるだけです。
(2)税額の表示が必要です。
今までは税率ごとに区分して合計した対価の額があればよかったですが、今後は、税率ことに区分した「消費税額」または「適用税率」を表示する必要があります。
「8%税込 324円」だけで良かった表示が、
「8%税込 324円 内消費税24円」と表示するわけです。
(3)端数処理が変わります。
小数点以下の値が発生する場合の端数処理にも注意しましょう。
インボイスでは、税率ごとに1回の端数処理をします。
そのため、商品毎に消費税額を計算して、端数処理をして合計していけません。
会計システム利用の方はシステムがバージョンアップすればシステム側で対応してくれるでしょうから、それほど心配はいりませんが、社内でエクセルに数式を入れて計算している場合は、誤りがないか確認しておきましょう。
事務処理を効率的にするためのシステム対応
一方で、上記のように必須の対応ではないですが、事務処理負担を低減するためには、以下の3つをシステムで対応できるようにしていきたいです。
(1)インボイス対応しているかの自動判定
取引先からもらった請求書がインボイスかどうかは登録番号が記載されているか否かで判断することになります。
しかし、登録番号が書いてあっても、その番号が間違っていたり、偽物だったりするリスクはあります。
もらった請求書を登録すると、AIによるOCRで登録番号を読み取り、そしてその番号が本物かを国税庁のデータと突き合わせて確認する機能があると便利です。
(2)インボイスによる記帳パータンの自動判定
現状も経理をする際に、8%の領収書なのか、10%の領収書なのかを判断して記帳していると思います。
インボイス制度が始まると、税率の他にインボイス対応しているかどうかも確認する必要があります。
10%の領収書でインボイス有り、10%の領収書でインボイス無し、を分けて記帳するわけです。
非常に手間がかかってきますので、ここでもAI-OCRの登場です。
領収書をスキャンすれば、自動に日付や金額を読み込むだけでなく、税率や、インボイス対応の可否も含めて自動仕訳する機能を是非活用したいですね。
(3)電子明細とインボイスへの紐付け
クレジットカードで購入した場合は、クレジットカードの電子明細データを経理に連動させます。
そして今回は、ここにインボイス(領収書等)を紐付ける必要があります。
金額や相手先を自動判断して紐付けられると便利です。
なお、中小事業者等に対する事務負担の軽減措置により、課税売上高が1億円以下である事業者については、6年間、1万円未満のインボイスは保存しなくても仕入税額控除は可能になる予定です。
他にも電帳法の改正対応も必要です
その他にも、電子帳簿保存法改正に対応する必要も出てきています。
2024年1月までには準備しておきましょう。
インボイスも電帳法改正も、スタートまでの残り時間は短くなっていますので、システムでどのように対応していくかも早めに検討していきましょう。
以上