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「質問力」を高めよう

中小企業診断士 宮坂芳絵

 

オンラインでのコミュニケーションやマスクでの会話が定着してきました。その中で、ふとした雑談から情報を集めるのが難しくなっています。また、限られた時間の中で相手の想いや考え、本音などを聞き出さなくてはならない場面も少なくありません。

こうした中、注目されるのが、質問力です。

 

 

質問にはいろいろな目的がある

質問は「わからないことを聞く」ことだと思っている方もいるかもしれませんが、その目的はもっと広いものです。

例えば、「コミュニケーションを円滑にしたい」「説得したい」「質問によって相手に何かを気付かせたい」「相手の注意を引きたい」「好意を獲得したい」・・など、様々です。

実は、普段何気なく使う「質問」も、目的を意識して活用することで、大きな武器になります。

 

 

質問には種類がある

質問の技法には様々なものがありますが、クローズド質問(答えの範囲が決まっている質問)とオープン質問(答えの範囲が決まっていない質問)の2つがあるのはご存知の方も多いでしょう。

クローズド質問は「あなたは、これが好きですか?」「期限はいつか?」というように、答えが二者択一的になるので、明確な回答が欲しいときに効果的です。一方、オープンク質問は、「どうしたらよいでしょうか?」「どうお考えですか?」のように相手の意思で自由に話してもらうため、情報を引き出したい場合に効果的です。

 

 

オープン質問は難しい

実は質問をする際に難しいのが、オープン質問です。この「相手の意思で自由に」という点で、質問者が意識している「目的」と外れた会話になっていく可能性もあるためです。そこで、ビジネスで意識いただきたいのが「具体的な質問」です。

 

具体的な質問は、質問する意図(目的)を見定めて行います。例えば、部下と最近読んだビジネス書の話題になった際に「その本、どうだった?」と質問をするとしましょう。部下は自由に話してくれるかもしれませんが、その返答は聞きたかったことではないかもしれません。

 

 

質問を具体的にしよう

そこで、上司として何を目的に聞くのかを意識したうえで、具体的な質問を行います。その本のどこに注目して、それを人生で活かしてほしいという想いで質問をするのであれば「どの本で最も参考になったところは?」「仕事に活かすとしたら、どのような点ですか?」「どのように活かしますか?」というような質問になります。

 

質問は、職場でも様々な場面で活用できます。「何か質問はあるかな?」「仕事の調子はどう?」・・など、これまで何気なく漠然とした質問をしていたとすれば、その質問を具体的にするだけで、知りたかった回答や情報を得られる可能性は高まります。

 

質問力は、一朝一夕でレベルアップするものではありません。しかし、様々な場面で目的を意識しながら「どんな質問をすべきなのか」と自分に問いかけるようにしていると、質問力は格段にアップします。また、質問の技法は今回ご紹介したもののほかにもたくさんあります。コミュニケーションの重要性が高まっている中、興味があればぜひ学んでみてください。