中小企業診断士 足立秀夫
大企業を中心に多くの企業がSDGsを経営に取り組むようになってきました。企業が積極的に取り組むその理由は、SDGsが企業価値の向上につながるからです。
中小企業においてもすでに取り組みを始めている企業がありますが、まだまだSDGsへの認知度が低く、限定的であるのが実情です。
SDGsは、2016年から2030年までの15年間で達成すべき17ゴールと169のターゲッ卜で構成されています。
国家や行政が取り組むような内容として紹介されていますが、一般企業がどのように取り組みをしなければならないのか、取組方法について具体的には明示されていません。
環境や社会に配慮したSDGsの取組みはコストがかかり、売上にはつながりにくいイメージがあります。SDGsでは環境保護、ジェンダーレス、多様性などの目的が多くあり、すべ てを理解することはなかなか簡単ではありません。
「それって大企業しかできないような環境や社会に対する配慮のことでは?」「貧困とか 飢餓とか生物多様性とかの目標は、うちのような中小企業には関係がないんじやないか?」 などと思ってしまう経営者がいるのも無理がないかもしれません。
具体的にどのようにSDGsに取り組めばよいか知りたいという方も多いことと思います。カラーマークで表示された17の目標に書かれた表現を読むだけではさほど理解が深まりませんが、詳細ターゲットや各指標についてよく理解することができれば、環境保護に関しての、社会全般に関しての、経済活動に関しての社会課題を解決するために具体的に自社が取り組むべきことは何かが見えてきます。
社会課題を解決するためには必ずしもイノベーション創出だけではありません。事業において取り組んでいる身近な業務の中にも社会的•経済的なSDGsの活動があります。
以下に17の目標ごとに身近な企業活動の例を示します。
- 貧困をなくそう 従業員貸付制度、適切な価格での取引
- 飢餓をゼロに 廃棄物を肥料等に再利用、食品の廃棄ロス削減
- 健康と福祉を 健康経営の導入、健康増進、運動栄養指導
- 教育をみんなに オンライン研修、工場見学の課外学習、教育資金援助
- ジェンダー平等 正規非正規格差をなくす、子育て•介護への配慮
- 水とトイレ 工場の水の再利用、節水型生産工程
- 再生エネルギー 省エネ設備利用増加、工程等の省エネルギー化
- 働きがい 内規定整備、ノー残業デー、給与昇給条件明確化
- 技術革新 研究開発、デジタル化による生産性向上
- 不平等なくそう 障がい者雇用、フェアトレード製品の採用
- まちづくり 事業継続計画、防災設備、廃棄ロス等の制御
- つくる責任 売れ残り再利用、リサイクル素材、プロダクトライフサイクル
- 気候変動 簡易包装、温室効果ガスCO2削減、Jクレジット
- 海の豊かさ 排水設備、水質維持、使い捨てプラスチック削減
- 陸の豊かさ ペーパーレス対応のデジタル化、再生紙利用
- 平和と公正 情報開示、説明責任、パワーハラスメント防止
- パートナーシップ 地域社会との連携、オープンイノベーション
これらの例はやや乱雑にまとめただけのものですが、具体的取組を考察する際のヒントになるものと考えますので、ご参考としてください。
中小企業がSDGsに取り組むことは、社会課題を解決をしながら地域経済発展に貢献し、自社が企業として生き残り、持続的に成長するという大きな意義があります。
この機会にぜひSDGsを経営に組み入れてください。
以上