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インボイス制度の2割特例について

中小企業診断士 税理士 武田圭子

 

いよいよ今年の10月1日からインボイス制度がスタートしますが、今まで消費税の納付が免除されてきた小規模の事業者にとっては頭の痛い問題です。

取引相手からインボイスの登録についてアンケートがきたり、登録番号を聞かれたり、今後のことに悩んでいる事業者が多いようです。

 

そこで政府は令和5年2月3日に新たな改正案について閣議決定をしました。

 

消費税の免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合、3年間消費税の納税額を、売上に係る消費税額の2割に軽減するというものです。

 

消費税は本来受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた金額を納付します。これを本則課税といいますが、これ以外に受けとった消費税から納付額を計算する簡易課税があります。簡易課税が適用できるのは基準期間(2年前)の課税売上高が5千万円以下の事業者です。

 

簡易課税は業種によって納付額が、受けとった消費税の1割から6割まで分かれていますが、業種を問わず2割納税すればよいことになります。(もちろん1割の業種は1割を選択すればよいのですが。)

 

2割特例を選択するには、事前の届出は不要で、確定申告書にチェックをつければよいようです。

 

政府が公表した資料によれば、簡易課税が5種(みなし仕入れ率50%)で売上高が770万円の事業者が本来納付する金額は35万円ですが、2割特例だと14万円となり、売上に占める割合は4.5%から1.8%に軽減されます。

 

いずれにしても手取り金額は減少するわけで、取引先と価格交渉をしてはと政府は言っているようですが・・・

 

今回の2割特例の発表前に、すでに免税事業者が課税事業者選択届出書を提出し、令和5年1月から課税事業者となっている場合には、令和5年分については2割特例が適用されません。

 

但し法案の施行予定日の令和5年4月1日から12月31日までの間に、課税事業者選択不適用届出書を提出することで、令和5年1月から9月分の納税義務が改めて免除され、インボイス発行事業者として登録を受けた令和5年10月1日から12月31日分については2割特例を適用することができます。

 

また令和5年10月1日にインボイス発行事業者の登録を受けようとする事業者は、原則として令和5年3月31日までに申請が必要ですが、4月以降の登録申請も可能となるようです。

以上