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BtoB向けカートで業務効率化を実現する

中小企業診断士 大高努

 

BtoB(法人取引)ビジネスにおけるマーケティング活動において、ホームページを活用する中小企業は増えてきたものの、「うちの業界は関係ない」「どうせ、営業メールしか来なくても、質のよい見込み顧客は獲得できないので、やってもしょうがない!」と言われる経営者の方も多くいらっしゃるのも現実です。

 

しかし、ホームページの活用方法を見込み顧客の獲得ではなく、既存顧客との取引に使うという活用方法は考えられないでしょうか。つまり注文をオンラインで受け付けるのです。

以前は取引先の多くがオンラインでのやりとりに不慣れという理由で実現できなかったかもしれませんが、新型コロナウィルスの影響で中小企業においても一気にオンライン化が進んでいます。改めて取引先の状況を調べてみると、今であればオンラインでのやりとりも可能かもしれません。

 

また、改正電子帳簿保存法が施行され、帳簿や書類など電子データ化して保存しなければいけなくなってきたのも大きな流れといえるでしょう。

 

オンライン化することの最大のメリットは業務の効率化です。オンライン化で業務効率化が見込めるのであれば、ぜひ導入を検討してみてください。現在ではBtoBビジネス用にも利用できる中小企業向けのカートシステムも存在します。そうした既存サービスを上手に活用すれば、比較的安価に導入することも可能になります。ただし、気をつけたほうがよいポイントもありますので、今回は「BtoB向けカートを導入する上でのポイント」をお伝えします。

 

 

1. 業務フローを書き出してみましょう!

現在の業務の流れを見える化してみましょう。各営業マンがやりやすいようにやっている、というケースも多いかと思いますが、個々にどのようにやっているのかをヒアリングした上で、まずは標準的な流れを作成してみましょう。モノはどのように流れているか、書類はどのように流れているかを確認してみましょう。

 

2. オンライン化する部分を決めてみましょう!

オンライン化というと、ときどき業務のすべてをオンライン化しようとする方がいますが、オンラインで対応できる部分、オンラインでは対応できない部分を明確にしましょう。営業マンが顔を出すから次の受注につながる、ということはあると思いますが、顔を出した際に集金をする等の余分な作業がないか考えてみましょう。

 

 

3. どのような機能が必要なのか優先順位を決めてみましょう!

たいていのBtoB用のカートでは、顧客ごとにログインし、その顧客のランクに合った料金(割引率)が表示され、購入ができるような機能があります。BtoBでは、よくある取引だと思いますので、必要な機能でしょう。その他にも会社によって、必要な機能は異なると思います。BtoB用のカートはいくつもあり、それぞれ異なる機能がありますので、絶対に必要な機能、あれば使いたい機能、なくてもよい機能は何なのかを決めておきましょう。

 

4. まずは小さくはじめてみましょう!

業務フローを見える化し、BtoB用のカートを選定しようとしても、業務の一部が特殊であるなどの理由ですべてを実現することができないかもしれません。すべての業務に合わせようと、既存のシステムでは実現できず、独自にシステム開発してもらわないといけない、となると大きく予算は膨らんでしまいます。いきなり予算を大きく始めるよりも、まずは汎用的なBtoB用のカートでできることに業務をあわせることをお勧めします。

 

5. 利用者を巻き込みましょう!

最後に、このシステムを利用するのは、営業マンや営業アシスタントの方、経理の方など誰なのかを確認しましょう。そしてシステム選定の際には、各部から1名ずつでいいので、巻き込みながら進めましょう。誰だって新しいやり方には抵抗感を覚えるものです。当事者がいないところで決まったシステムは使ってもらえないかもしれません。本当に業務が効率化するのかを見定めつつ、使ってもらえるシステム選定をしていきましょう。

まとめ

「どのBtoB向けシステムがよいのか?」を決める前に社内で検討しなければいけないことがたくさんあります。ましてや、これまで業務の流れは個々の営業マンに任せていたという場合は、見える化するのも、たいへんかもしれません。しかし、こういうタイミングなければ、業務の見える化するという機会もないでしょう。これをひとつのきっかけとして、業務効率化に取り組んでもらえれば幸いです。ぜひトライしてみてください。 

 

以上