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「数値化」するクセをつける

中小企業診断士 丸田佐和子

ビジネスマンに必要な「数値化」とは

普段のビジネスで「数値化」ということを意識していますか?この問いにYesと答えるビジネスパーソンは多いと思います。ただ、本当に意識できているでしょうか?普段のビジネスコミュニケーションの中で、筆者はよく「今の話、具体的な数字にするとどれくらいですか?」、「割合にすると何パーセントくらいですか?」などと質問するケースは少なくありません。

 

こちらから質問する前に、「数値化」を用いて物事を説明することができている人はそれほどいないということです。さらに、質問しても即答できる人は多くありません。それは普段から「数値化」するという思考法をそこまで重視していないからかもしれません。

 

「数値化」のメリットって?

「数値化」のビジネス上のメリットとして、数値化することで

  1. 感情や主観が客観的に表現できるため問題の特定や改善点が見出しやすくなる
  2. 情報が客観化されるのでコミュニケーションが円滑になる(誤解がなくなる)
  3. 現状を客観的に把握でき、データとしての比較検証や効果的な戦略策定が可能になる

などが挙げられます。要するに物事の伝達や判断のスピード、正確性があがり(齟齬がなくなり)、効率的にビジネスが進められるようになるということです。

 

ビジネスプランで説明してみます

「数値化」の効能がわかりやすい例として、第三者から評価を得るために自社のビジネスプランを説明する場面で考えてみましょう。商品・サービスの独自性や、競合他社との優位性など、販売候補先に自社サービスを選んでもらうためにプレゼンをするケースです。

 

例えば、「当社のサービスはテストマーケティングでターゲット層から非常に高い評価を得ました」と説明する場合と、「当社のサービスはテストマーケティングで500名の20~30代女性に使用してもらった結果、96%がぜひ購入したいとの回答を得ました」と「数値化」して説明した方が、相手に伝わりやすいということがわかっていただけると思います。

 

筆者はビジネスプランを作成する場合に、

  1. わかりやすく(第三者が理解できるか)
  2. 具体的に(抽象的にならない)
  3. 根拠を意識する

ことをアドバイスしています。いずれも「数値化」を意識する必要性が共通しています。

 

「数値化」すると客観的な情報になり、1)「わかりやすく」腹落ちしやすくなり、2)具体性が増し、3)第三者が判断できる基準や判断根拠を示すことができます。

 

普段からの意識的な行動が習慣化につながる

ビジネスプランではなく、自己紹介などでも活用できます。「SNSマーケティングが得意」と記載するより、「Instagramフォロワーが6ヶ月で2万人に達するなどSNSマーケティングを得意としている」とした方が相手に伝わりやすいです。

 

もう少し日常的な会話にブレークダウンして、「趣味は映画鑑賞です」より、「趣味は月に10本以上観ている映画鑑賞です」とすると、相手がどれくらいのペースで映画を観ている人なのか客観的に把握できますし、「いやいや、実は私は、15本は観ています。どんなジャンルがお好みですか?」などのようにコミュニケーションが活性化する効果も期待できます。このように、日常のあらゆる場面で「数値化」していくことは非常に有効です。

 

「クセ」がつくまで、意識的に「数値化」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

以上