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98円とか、299円などの値付けより違う効果を狙う

中小企業診断士 佐川博樹

スーパーマーケットなどでよく見る価格は、「税込 299円」とか、「特価 98円」とかである。
前者は300円、後者は100円とほぼ同じだが、安く感じてしまう。

 

心理的なものだろうと想像される

一般的には、ギリギリ低めの価格が効果的といわれている。皆さんはどうだろうか。

確かに、100円ではなく、98円の方が私はなんとなく安い気がしてしまう。心理的な効果なんだろう。

 

だが、ある研究では、これよりも面白い結果が待っているという。

 

単独で提示する際は効果的

単独で価格を提示する際には、上記のギリギリ価格が良い。少しだけ割安に感じるから。

しかし、客単価を上げるために、アップグレード価格の商品を勧めるときは違うらしい。

 

ある研究では、珈琲のスモールサイズとラージサイズを用意して、2つの価格パターンで販売した。

一つの組合わせは、95セントと1.2ドル。もうひとつは、1ドルと1.25ドル。

 

ラージサイズを選ぶ確率は前者の組合わせでは29%だが、後者の組合わせでは56%がラージサイズを選んだとのこと。

高価格帯が売れる方が平均単価は上がるから収益が上がることになる。

 

ぴったり価格は割安に感じない

98円の方が100円よりも安く感じるということを逆手に取った形になる。

100円の方が高いという心理状況があるなら、100円と125円を比べるとき、100円を割安に感じないということだろう。

 

結果、ちょっと得しそうだから、125円の方を買おうってことになるんだろう。

 

ただし、注意点もある。価格が同時ではなく、前の価格を忘れるくらい時間が経ってから上の価格を提示しても効果がないとのこと。

また、上の価格が大きく離れている場合、たとえば、100円と200円などの場合、200円が選択されることはかなり少なくなってしまう。

 

確かにそうだろう。心理的にもあまりに価格が離れていれば躊躇するだろうし、全く別のものと認識されてしまうのではないだろうか。

 

 

価格の設定は難しい

いろいろな研究があるが、価格の設定は本当に難しい。単にコストから価格を設定するだけでも難しいのに、消費者の心理を考えながら価格を設定しなければならないのはかなり難しい。

 

中小企業としては、こうした研究結果を見ながら、できるところを取り入れていくことが大切だと思う。

以上