中小企業診断士 佐川博樹
先日、ある地方のお茶の高級品を新聞で拝見した。なんと、720mlのボトルに入って、3万円近い値段が付いていた。
高い付加価値
そのお茶は年間で生産量が決まっており、その量がすごく少ないため、付加価値が高い。もちろん、品質も高いものと想像される。いわゆる玉露らしい。
私などはそれ程舌が肥えているわけではないからわからないんだろうが、違いのわかる人たちにはきっと素晴らしいものなのだろう。
利き酒ならぬ、利き茶もあるだろうから、そういうことができる人たちにとってはかなり違うものなのだろうと思う。
ワインなどもそうだろうし、他の食物でも似たことがあるだろう。
経営的に言うと
付加価値が高いから、当然、値段も高い。この手のものは利益率が高い。結果、儲かる商品ではある。
一方、不景気には非常に脆弱になる。
よく言われることだが、不景気になると高級品から景気が悪くなり、好況に戻ってくるのは最後になる。
たとえば、宝飾品。景気が悪くなってくると、まず買え控えられる。ダイヤモンドを買っている場合ではない!となるわけだ。
しかし一方で、景気が良くなってきてもすぐに需要が戻ってくるわけではない。買え控えが収まるには時間がかかるのだ。
恐らく、この高級茶商品もコロナなどの影響は大きく受けていて、大変だっただろう。
中小企業の場合の高付加価値品
私が思うに、中小企業の場合、高付加価値品を扱うのは非常にメリットがある。
小さな手間で大きな利益が得られる可能性があるからである。
小さな手間というのは言い過ぎか。労力が少ないわけではないが、薄利多売ではない。
一方、先ほどのように不景気には弱いので、リスクが伴う。
このリスクをどう防いでいくかが課題となる。
高付加価値品といっても、たとえば、価格が上述のような一般的なものに比べて100倍を超えるようなものもあれば、せいぜい2倍程度のものもあるだろう。
狙うのは、100倍のものではなく、数倍のものだと私は思う。
せいぜい数倍なら不景気になっても、一気に需要が落ち込むということは「恐慌」でない限りは起こりにくい。
リスクを少しでも減らすためには、あまり高すぎない付加価値が良いだろう。
製品開発、サービス開発の時、手の届きそうな高付加価値品を考えることは利益率改善にも繋がるので、良い筋の選択のひとつではないだろうか。
以上