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飲食業に求められるデジタル化とは?

中小企業診断士 村上知也

飲食業の売上の拡大傾向が続いている

日本フードサービス協会による調査によれば、2023年7月の外食産業の売上は前年同月比で14.2%増となり、20ヶ月連続の増加を記録しています。コロナ禍での落ち込みからの回復は明らかで、需要は徐々に戻ってきていると言えるでしょう。

 

しかし、現在の課題として人手不足が挙げられます。帝国データバンクの2023年1月の調査によると、飲食店の約60.9%が正社員の不足を感じていると回答しています。ランチタイムに店員が不足し、注文の対応が遅れることでお客様の不満が増えていると感じることも多いです。

 

このような状況を改善するためには、飲食店のデジタル化が必要と考えられます。以下に、飲食店のデジタル化のポイントを紹介します。

 

飲食店のデジタル化のポイント

(1)ホールでの対応

大きな居酒屋などでは、テーブル上にタブレットを設置して注文を受け付けるシステムが多く導入されています。しかし、テーブルの数だけタブレットが必要となるため、初期投資が高くなることから、中小企業の飲食店での導入は遅れていました。ところが最近では、テーブル上にQRコードを設置し、お客様が自分のスマホで注文する方法が増えています。低コストでの導入が可能なため、多くの中小飲食店で採用が進んでいます。

 

これまでの流れでは、ホールスタッフがお客様の注文を伝票に書き、その後レジで改めて打ち込むという手間がありました。しかし、QRコードを利用したモバイルオーダーが普及することで、ホールスタッフの仕事量が大幅に減少します。もちろん、スマホ操作が苦手なお客様へのサポートも必要となりますが、人手不足の解消に向けた取り組みとして有効です。

 

(2)レジでの対応

 

近年、キャッシュレス決済の導入が飲食店で進められています。キャッシュレスの利用率は今後も増加が予想されるため、飲食店としてはキャッシュレス対応が不可欠です。POSレジとの連動を図ることで、効率的なお会計が可能となります。さらに、レジの締め後に自動で経理データが連動する仕組みも導入を検討すると良いでしょう。

 

(3)店頭での対応

 

コロナ禍を契機に、デリバリーサービスが飲食店で広く採用されるようになりました。しかし、デリバリーの需要は地域によって大きく異なるため、すべての飲食店での導入が必要とは限りません。一方、テイクアウトの需要は依然として高く、特に繁忙時には対応が追いつかない店舗も多いです。事前にテイクアウトの予約を受け付けることで、店舗の対応能力を高めることができます。また、テイクアウトの予約と同時に決済も完了できる仕組みを導入すると、さらに効率的な対応が可能となります。

 

まとめ

このように、飲食店にはデジタル化できる領域が多数残っており、人手不足の今こそ積極的にデジタル化を図っていくチャンスだと言えるでしょう。

以上