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生成AIを上手に活用するコツ

中小企業診断士 妹川 聡

今話題の生成AI。今まではAIというと、何か大企業などが取り入れていて、私たちには遠い存在と思っていました。しかし、今や中小企業事業者の皆さまにとってもAIは業務の効率化やイノベーションなどで活用できるツールになりました。ChatGPTはその代表例と言えます。ただ、すでに使ったことがある方の中には「あれ、何か違うぞ」と感じられている方も多いと思います。実は、ChatGPTは、その仕組みと限界を正確に理解することが、そのポテンシャルを最大限に引き出す鍵となります。

 

 

仕組み

ChatGPTはどのような仕組みなのか。極端な表現をすれば、それまでの文字列(文章など)から次の単語を予測することによって、流暢な言葉を作り出すことができるようになっています。次の単語を予測するために、ChatGPTにはインターネットにある膨大な文章(一説によると、その単語数は数千億以上になるとも言われています)を学習させています。その学習の過程で、知識も一緒に学習してしまっている訳です。

 

 

得意分野と苦手分野

 

ChatGPTは、文章作成、プラン立案、要約やアイデア出しに優れており、これらのタスクを迅速にこなすことで、業務の効率化に繋がります。例えば、お客様向けのメールの下書きや、長文文書の要約、販路開拓等の戦略のアイデア出しなどにChatGPTを活用できます。また、プログラムを作成することもできます。

 

その一方でChatGPTには苦手な領域もあります。前述のとおり、ChatGPTは膨大な文章を学習していますが、その情報は執筆時点では2023年4月時点のもののようであり、最新情報は知識としてはありません(今後アップデートされる可能性はあります)。また、ChatGPTはあくまでも流暢な文章を作成することができるモデルですので、数学などの計算機能は持っていません。

 

 

利用時の工夫

以上のような限界を補うためには、ChatGPTを他のツールや情報ソースと組み合わせることが推奨されます(これらは有料版で可能です)。例えば、最新の情報が必要な場合は、検索エンジンを併用したり、数学的計算をさせる場合は、一度プログラムを作成させて実行させることで、苦手をカバーすることができます。

 

加えて、ChatGPTを最大限に活用するためのコツは、明確で具体的な指示(プロンプト)を用意することです。質問や指示は、できるだけ詳細に書くことで、望む回答や結果を得やすくなります。出力方法を指定するのも有効です。

 

生成AIは今後私たちに取ってもっと身近な存在となり、企業にとってもコスト削減、スピードアップなどで競争力を上げ、さらなるチャンスを提供してくれるでしょう。これからもChatGPTをはじめとする生成AIの動向に注目し、積極的に取り入れていくことをお勧めします。

 

以上