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「当たり前」を魅力に変える

中小企業診断士 宮坂芳絵

 

内閣府が7月8日に発表した6月の景気ウオッチャー調査(街角景気)では、現状判断指数は前月比1.3ポイント上昇の47.0で4カ月ぶりに改善しています。

背景には、インバウンド(訪日外国人)消費の高まりなどがあるようです。

 

現在は、円安による日本旅行の割安感もインバウンドの増加も大きな要因ではありますが、訪日外国人の消費単価は高所得層の増加や高級志向の傾向もあり上昇しています。

情報発信やインバウンド向けの研修などで、対応を強化している企業も多いですが、一方で「日本独自の良さ」を改めて見直し、魅力として定着・発信させていく時期にあるのではないかと思います。

 

海外の方から見ると、私たち日本人が日本の四季に誇りを持ち、生活の中にここまで四季を取り入れていることを不思議に感じる方もいるようです。

そして、世界には四季のある国が他にもありますが、日本人ほど四季を感じて生活をしている国民は、思った以上に少ないのだそうです。

 

あらためて考えると、四季折々の旬の食べ物や季節の動植物、季節の天候、四季の豊かな自然・・など、四季に密接に結びついた生活を送っています。

そして、お花見や紅葉狩り、地域の祭りなど、季節にかかる行事も数多くあります。

文学や芸術の世界においても高い割合で四季が取り入れられています。暮らしの中を見ても、自然からの教えや生活の知恵がたくさんあります。

 

四季があることは、実際に日本の魅力の一つになっています。

 

例えば、2013年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産にも登録されている日本人の伝統的な食文化「和食(washoku)」。

和食ならではの特徴の一つに、季節の食材を食事に取り入れることです。

また、食材だけでなく調理や盛り付けまで、春夏秋冬の4つの四季を取り入れ、季節を感じるようにしています。

海外の方へのアンケートではヘルシーというだけでなく「自然・四季を表現するための飾り付けや器の使い方が美しい」という意見が多くあります。

 

また、日本の芸術、文学、哲学、思想など、全般に浸透している「わびさび」もその一つです。

「わびさび」は、自然の姿や物体、そして生き物との相互関係の不完全さやはかなさといった「美」に焦点を当てたこの世界観ですが、世界中にそのファンがいます。

そしてこの世界観は、日本の四季から生まれたものでもあります。

 

今回は、「日本の四季」を中心に考えましたが、他にも「当たり前」の中に本来の魅力があるということは、多いのではないでしょうか。ぜひこの機会に、ご自身のビジネスの中の「当たり前」を見直し、魅力につなげてみてください。

以上