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新一万円札の肖像・渋沢栄一

中小企業診断士 足立秀夫

 

令和6年7月3日に新紙幣が発行され、日本銀行券新一万円札の肖像は福沢諭吉から渋沢栄一に変わりました。すでに皆様の財布には入っているかもしれませんね。

 

「日本資本主義の父」と称され、NHK大河ドラマ「晴天を衝け」の主人公にもなった渋沢栄一は、約500の企業の設立や運営に関わり、日本の近代化に大きく貢献しました。

 

渋沢栄一の経営理念は「道徳経済合一説」であり、経済的成功と道徳的価値観を調和させることを重視していました。

 

彼は「論語と算盤」の言葉で知られるように、経済的価値だけでなく、社会的利益(公益)の両立を目指し、約600の社会公共事業に貢献した社会起業家でもあります。

 

また、彼は慈善活動を通じて社会に貢献し、多くの人々に幸福をもたらすことを使命と考えていました。

 

渋沢栄一の活動は、教育、健康、貧困削減、鄭和と正義、産業とイノベーションなど、彼の社会事業はSDGs(持続可能な開発目標)の目標に合致しています。

 

SDGsは、持続可能な世界を実現するために2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの国際的な中長期目標であり、「誰一人取り残さない」という理念のもと17の目標を設定しています。

 

これより100年も前の1916年に渋沢栄一が「論語と算盤」で唱えた経営思想と現代社会のSDGsとの間には、さまざまな共通点が存在することは大変注目すべきことです。

彼のその歩みと思想は時代を超え、不安定な現代にも通じる示唆に富んでいます。

 

渋沢栄一は多くの名言を残したことでも有名です。

その一部をご紹介しましょう。

 

  1. 論語は最も欠点の少ない教訓であるが、この論語で商売はできないかと考えた。
  2. 論語とソロバンというかけ離れたものを一つにするという事が最も重要なのだ。
  3. 目的には理想が伴わねばならない。その理想を実現するのが、人の務めである。
  4. 多くの人に幸福を与えるのが義務である。
  5. 事業には信用が第一である。世間の信用を得るには世間を信用することだ。個人も同じである。自分が相手を疑いながら、自分を信用せよとは虫のいい話だ。
  6. 金儲けを品の悪いことのように考えるのは根本的に間違っている。しかし儲けることに熱中しすぎると、品が悪くなるのも確かである。金儲けにも品位を忘れぬようにしたい。

渋沢栄一の言葉には、現代の経営者にも参考となる要素が多くあります。

事業の継続性やSDGs経営について、気になることがあれば中小企業診断士に相談してください。

 

以上