中小企業診断士 丸田佐和子
コロナ関連保証は今年6月末で受付終了
コロナの影響で資金繰りに窮する中小企業を支援するための対応策として、ゼロゼロ融資を中心にコロナ対応融資が打ち出され、広く活用されました。その後も、セフティーネット保証や借換保証等によるコロナ関連融資や、その借換による返済条件の見直し(元金返済開始年月の先送りや最終期日の先延ばし)など、名称や内容が変わりながらも資金繰り支援が実施されてきました。
しかしそれら支援策のほとんどが延長を重ねつつも、今年6月末で終了しました。今年7月以降の経済産業省による支援策の方向性は、「能登半島地震の被災地に配慮しつつ、各種資金繰り支援策についてはコロナ前の水準に戻し、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援」と示されており、金融機関の対応もコロナ前の水準に戻りつつあります。
資金繰りに困っている中小企業はどうするか
コロナが収束したとはいえ、コロナ前までの売上水準には戻ってない、コロナ融資の返済が始まり、返済負担が大きく資金繰りが苦しい、という中小企業者は多く存在しています。
その場合、どのような支援策が活用できるのか、ということをよく質問されますが、経済産業省は上記の方向性を示しつつ、一部の支援メニューを継続しています。
一つ目は、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」(令和6年7月からは融資後3年間の利率引き下げおよび設備資金での取り扱いは廃止)です。これは現在のところ今年12月末までの延長対応となっています。
二つ目は、民間金融機関において、コロナ前からの措置である小口零細企業保証(100%保証)での借換や認定経営革新等支援機関の支援を条件に保証料を低減する経営力強化保証(80%保証)を活用し、コロナ融資の借換等の検討が可能というものです。あくまで、制度として検討ができる、とのことで、金融機関や保証協会の審査によって可否があります。ただ、選択肢として知っているか否かでは結果が変わる可能性はあります。金融機関の担当も知らない可能性はゼロではありません。
経営改善サポート保証とは
多少の借換等ではすぐに資金繰りが窮する、など抜本的な経営改善が必要な場合は、経営改善計画(もしくは再生計画)を策定することが前提となりますが、「経営改善サポート保証(コロナ対応)」の検討も選択肢になります。
信用保証協会等を事務局とした支援の枠組みである「経営サポート会議」や中小企業活性化協議会等のスキームを活用した経営改善はもとより、認定経営革新等支援期間が経営改善計画策定支援事業によって策定を支援した事業再生計画においても、全債権者の合意を得たものであれば、保証の対象となります。
保証料は0.2%、据置期間5年以内、保証期間15年で、経営改善・事業再生を実行するために必要な資金を支援するもので、借換等も対象です。審査のハードルは低くはありませんが、保証料を国が補助しているため(補助前の保証料率は原則0.8~1.0%)、保証料は抑えられ、期間も長期間に延ばすことが可能です。この保証制度も今年12月末まで延長されています。
最後に
以上、現在活用できる制度をご紹介しましたが、大半が今年12月末までの対応となって(再延長となるかは現時点で明らかになっていません)。また上記以外に自治体独自の支援メニューを用意している自治体もあります。
金融機関の融資審査スタンスもコロナ前の水準に戻っていることから、今回ご紹介した制度を利用する場合でも、事業計画や資金繰り表などの作成が求められます(経営改善サポート保証はより詳細な経営改善計画が必要です)。
公的機関や認定経営革新等支援機関等のサポートを活用することも可能ですが、計画策定や金融機関の審査には相応の時間を要しますので、資金繰りに不安がある場合は早めの行動をおすすめします。
以上