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令和6年11月から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました

中小企業診断士 溝口 晃子

フリーランスの方と発注事業者の間の取引の適正化およびフリーランスの就業環境の整備等を目的とした「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が今年の11⽉1⽇に施⾏されたことは、既に本ブログでもご紹介しました。

 

本稿では、今年11月から、新たにフリーランスの方が労災保険の「特別加入」制度の対象となったことについてご説明します。

従来は、労災保険の特別加入制度への加入は、限られた業種の方のみ可能でしたが、今般の制度導入によって、すべての業種の方が加入できるようになりました。

 

労災保険とは

労災保険制度は、労働者が仕事中や、通勤中のケガ、病気、障害または死亡等に対して補償を受けられる制度です。あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業も行っています。

 

特別加入制度とは

労災保険は、労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する制度です。労働者以外の方でも、一定の要件を満たす場合に任意加入でき、補償を受けることができます。これを「特別加入制度」といいます。

 

特別加入のメリット

労災保険に特別加入することにより、仕事中や通勤中のケガ、病気、障害または死亡等に対して、補償を受けることができます。

 

給付内容

労災保険給付では、ケガ等の治療に必要な給付や、ケガ等で休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、お亡くなりになった場合の遺族への給付等が支給されます。

 

保険料について

保険料は自己負担になります。

年間保険料は、休業(補償)等給付などの給付額算定の基礎となる給付基礎日額(1日当たりの収入を基準として加入時に3,500円から25,000円までの16段階から選択し、都道府県労働局長が承認した額)の365日分の0.3%です。       

 

例:給付基礎日額10,000円を選択した場合の年間保険料

 10,000×365×3/1000=10,950円

 

対象

「フリーランス(特定受託事業者)(※1)が企業等(業務委託事業者)(※2)から業務委託を受けて行う事業(特定受託事業)」または「フリーランスが消費者(業務委託事業者以外の者)から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事業」(他に特別加入可能な事業または作業を除く)が対象となります。

 

※1 フリーランス(特定受託事業者)とは

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に規定する、業務委託の相手方である事業者であって、従業員を使用しないもの。

 

※2 企業等(業務委託事業者)とは

業務委託を行う事業者のことです。

 

特別加入の対象となる事業

  • フリーランスが企業等から受けて行う「業務委託」が対象となります。
  • 「業務委託」とは、企業等がその事業のために他の事業者に、物品の製造、情報成果物の作成(プログラミング 等)、役務の提供(通訳 等) を委託することをいいます。
  • つまり、フリーランスが企業等から業務委託を受けて行う「事業者間の委託取引」が対象となります。
  • さらに、企業等から業務委託を受けて事業を行うフリーランスが、当該事業と同種の事業を消費者から委託を受けて行う場合のケガ等も補償の対象となります 。

 

特定フリーランス事業として加入できるかどうか

  • 特別加入は、特定の事業または作業ごとに、それらの特別加入団体を通じて加入することができます。
  • 従来の特別加入団体に加入できない方は、都道府県労働局長の承認を受けた以下の特別加入団体に申し込んでいただくことになります。

 

加入手続は特別加入団体が行います。

 

団体名 連合フリーランス労災保険センター

郵便番号 101-0062

所在地(住所) 東京都千代田区神田駿河台3-2-11

電話番号 03-5761-8338

 

 

詳細は、以下のURLをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1_00010.html

https://jtuc-freelance-rousai.org/

 

以上