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コロナ禍で変化した意識が元に戻り始めている

中小企業診断士 中島 誠

 

今回は「コロナ禍で変化した意識が元に戻り始めている」について考えていきたいと思います。

 

12月2日の日経MJに以下の記事が掲載されていました。

 

「新型コロナウイルスの感染拡大を契機に変化した意識が元に戻り始めている。博報堂生活総合研究所が2年ごとに手がける調査「生活定点」によると「社会全体のためには不便なこともガマンできる」と回答した人は2020年に直近10年で過去最高の53.6%だったものの、24年は過去最低の39.5%にとどまった。」 

 

この記事の基データ「博報堂生活総合研究所「生活定点」2024年10月17日公表」を確認しますと、コロナ禍前の傾向に戻った主な項目とコロナ禍を経て定着した主な項目の2つに分けて、具体的な内容が提示されています。

 

コロナ禍前の傾向に戻った主な項目としては

【1年以内に旅行に行った】   2022年46.9% ⇒ 2024年64.4%

【社会全体のためには不便なこともガマンできる】  2020年53.6% ⇒ 2024年39.5%

その他には、1年間以内に新年会をした・外食にお金をかけている等が挙げられています。

 

コロナ禍を経て定着した主な項目としては

【日常的に携帯電話やスマートフォンで支払いをしている】 2020年32.0% ⇒ 2024年53.0%

【オンラインショッピングを利用している】 2020年66.5% ⇒ 2024年72.2%

その他には、在宅勤務をしたい・ひとりですごす時間を増やしたい等が挙げられています。

 

ご自身の事業運営はコロナ禍前に戻りましたか?

上記のような意識変化に合わせた事業運営はできていますでしょうか。

コロナ禍前の傾向に戻ったことに対しては、企業としてもコロナ禍前に実施してきたことをやるべきですが、様々な企業のお話しを聞いているとコロナ禍終息後も実行していない企業が多くあるとの印象を持ちます。

 

1つ例を上げると、あるパン屋さんにあるイートインコーナーですが、コロナ禍前には朝は朝食を食べる方・昼は家族連れ・夕方以降は会社帰りの方でにぎわっていたそうです。コロナ禍で大幅に利用客が減少したためイートイン自体を諦めてしまい、コロナ禍が終息した後もイートインの集客対策は行っていませんでした。お話しを聞く中で経営者はかつて成功していたことを思い出したようでした。

 

上記のようになったと考えられる理由は、コロナ禍前に何が成功していたのか、どうやって集客していたのかを忘れているのではないかと思っております。一旦、行動を止めると習慣が途絶えてしまうのは顧客側だけではなく、企業側も同じだと考えられます。コロナ禍前の傾向に戻った意識に対しては、まずはかつて成功していたことを思い出して実行するのが良いといえます。

 

一方コロナ禍を経て定着したことに対しては、今後も定着は続く可能性は高く、現在その定着に自社が対応できていないのであれば、早急に対策が求められます。事業チャンスと考え、積極的に対策を実施していくのが良いといえます。

 

「コロナ禍で変化した意識が元に戻り始めている」を理解して、うまく捉えることで自社の業績にプラスしていくことを考えていきましょう。

以上