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従業員が辞めていく企業の現実

中小企業診断士 佐川博樹

 

従業員が辞めていく企業を過去、私もいくつか支援している。

そうした企業はどうしてそうなっているのか?と考えることは私もある。

 

が、人材採用などを専門のコンサルティング領域にしていないため、これまで深掘りして考えることはなかった。

 

大抵の場合は社長の問題

これまで支援してきた会社で社員が辞めていくのは、大抵は社長の問題であることが多い。

いわゆるワンマンだったり、職場環境が悪かったり、場合によってはブラックだったりもする。

 

そういうもののほとんどは、社長の考え方ひとつで変えられたりするが、性格の問題だったりするので、なかなか難しい。中小企業の場合は、本当にこれが多い。

 

コミュニケーションが取れていると少ない

業界自体の「流動性」が高いケースもある。が、業界よりも低いケースもある。

そういう場合は、「社長とのコミュニケーション」が取れているケースが多い気がする。

「辞めたい」と思われる前にコミュニケーションがしっかり取れていると社員は辞めない。

 

逆の場合は、辞めていく。

今、私は、中小零細企業の場合を言っているわけだが、大企業の場合は社長とコミュニケーションなんて取れないから、やはり辞めていくわけだ(笑)。

その場合は、部課長とか、事業部長とかのレベルとコミュニケーションが取れていると辞めないのかもしれない。

 

私はなぜ辞めたか

一方、私も会社を辞めたわけだが、部長らとコミュニケーションが取れていた時期は確かに「辞めよう」なんて思っていなかった。

 

部長が変わり、コミュニケーションが取れない人になったとたん、辞めたくなった。

自分自身も異動して、その先に自分の仕事がないと思った時もそう思った。

そして、最終的に自分の可能性を試すために辞めた。

 

ニーズと自分のやりたい仕事

結局、求められていること(ニーズ)と自分がやりたい仕事にズレが起こると、辞めたくなると思うのである。

ニーズが明示されていないとさらに辞めたくなる気がする。

 

これを解消するには、やはりコミュニケーションをしっかり取ることだろう。

何を求めているのかをきちんと伝え、相手のやりたい仕事が何かも考える必要があろう。

 

中小企業の場合は、社長が積極的に社員とコミュニケーションを取ることが求められよう。

1on1などの推奨をするわけではないが、非公式なコミュニケーションも含め、考えた方が良い。

 

コミュニケーションが取れている例

そういえば、先日、テレビ番組で「猫を事務所に飼っている建設業」の話をやっていた。

 

たまたま、その企業の資材置き場に野良猫がおり、その野良猫がカラスとの喧嘩で怪我をしたとき、社員全員で一緒になって助けたそうである。

 

普段から社長を含め、社員全員でコミュニケーションはある程度あった様子だが、この猫の存在がさらにコミュニケーションを活性化した様子である。加えて、この様子をSNSでアップすると、仕事が増えたそうである。「猫を大事にしている会社は信頼できる」と(笑)。

 

何をきっかけにしても良いので、こうしたコミュニケーションが生まれるような土台を作ってほしいものだ。

以上